spatium artis ( 2009.3.13 updated )
La Maddalena penitente
  改悛するマグダラのマリア
1635
Oil on canvas,
 91 x 74 cm
Walters Art Museum,
 Baltimore

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■梗概

 マグダラのマリアは、キリストの同時代人にして聖書物語とキリスト教美術になくてはならない大人気のヒロイン。生まれは裕福だったが、つつましからざる生活の積み重ねでついに娼婦にまで身を落とす。しかしキリストの弟子となり、罪を深く悔い改める。結果的にはキリストの足に香油を塗って説話となり、キリスト磔刑に立ち会い、キリストの復活に立ち会い、noli me tangere(わたしに触れるな)でまた説話となり、と八面六臂の「キリスト伝説の生き証人」的活躍である。このように、様々なエピソードがあり、元娼婦である、しかも美しい女の人、の姿を、画家たちが描かないはずがない。様々なマグダラのマリア画がつくられてきた。
 レーニの描いたマリア・マグダレーナは、彼の描く女性像のご多分に漏れず豊満で若々しい。彼自身が五年前に描いた「クレオパトラの死」に、構図も女性もよく似ているが、服の皺を描くタッチが変化してきている。

光のやってくる方向を見据えるマリア・マグダレーナ。
意志を感じさせるが、同じく仰角のマリア・マグダレーナを描いたティツィアーノの「改悛のマリア」と比べると、より優美さが目立つ。

慎重に塗り重ねられたであろう肌の質感は、天から差してくる光を受けてただ柔らかい。
タッチで描き分けられている人体と衣服。
服を描くときのザクザクしたタッチはエル・グレコを彷彿とさせる。
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