spatium artis ( 2015.1.24 updated )
Bodegon con cacharros
  静物〈茶碗、アンフォラ、壺〉
1658-64
Oil on canvas,
46 x 84 cm
Museo del Prado,
Madrid

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■梗概

 スルバランの代表作。いわゆる〈ボデゴン〉つまり静物画である。
 静物画自体、スルバランはそんなに多くの点数を残しているわけではないが、そのどれもが素晴らしい。そしてそんなスルバランの素晴らしい静物画の中でも冠絶してすばらしいのがこれ、ポットの静物画である。
 黒い背景にポット、水入れ、盃が並んでいるだけの、全くなんということがない構図だが、その質感表現、ハイライト、存在感、どれもが恐るべき表現である。本物らしく見えていながら、この絵ほど「写真のような」という表現から遠い写実はないであろう。張り裂けんばかりの質感をもっている。



白磁風のポット、その質感。

あるものをただ映写して呈示しているだけの写真とは全く違う、そこに肌触りとともに存在する実感がある。

陶器のようにも、金属器のようにも見える盃。

やはり質感が内包され、まさにそこにあるかのようである。スルバランが触ったときの感覚さえ封じ込められている。その意味では質感のタイムカプセルのようだ。

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