spatium artis ( 2015.1.6 updated )
Zeven Hoofdzonden
  七つの大罪
c. 1480
Oil on panel,
diameter of detail: 36,3 cm
Museo del Prado, Madrid

【部分図。クリックにて拡大】

■梗概

 普通の壁掛け型絵画ではなく、いわゆる「机絵」であり、実際プラド美術館でも横に置いて展示してある作品。実にボスらしい宗教的寓意画である。
 中央の同心円三つは瞳をイメージしており、「神の目」であるともみなされる。実際に中央に映るキリストを中心に光輪が放射状に出ているが、虹彩のようにも見える。その下に記載されている文字は「注意せよ、注意せよ、神は見給う」として、まさに「見る」ことを含意している。
 中央の円はいわゆる「七つの大罪」をそれぞれ示しており、周囲にある4つの円は四大終事である「死」「最後の審判」「天国」「地獄」を示している。

《嫉妬》を示す部分。

左側、窓辺に居る女に男が花をさしだし、真ん中右の鷹を手にした男がまさに嫉妬深げにそれらを見る。
さらにその鷹をもつ男および鷹を窓辺の紺色の頭巾をかぶった男が見る。
さらにその男が持っている骨らしきものを、その下に居る白犬が欲しがるような目で見る。
さらにその白犬の足元には骨が転がっており、それを赤犬が欲しそうに見る。

めくるめく嫉妬の連鎖である。
《貪欲》を示す部分。

真ん中に居る男は判事である。
左側の訴訟人から訴訟を受けながら、右側の訴訟の相手方から賄賂をもらおうとしている。
《大食》を示す部分。

大いに食い、呑む大人。
部屋の中の焚き火みたいなところでは更に腸詰めのようなものが焼かれており、左から女性が更に鶏肉のローストを運んできており、テーブルには豚のもも肉の丸焼きのようなものがまだ丸々とおいてあって、足元の子供は食うものをねだっている。
《怠惰》を示す部分。

シスターは聖書とロザリオを持って注意を促しているが、当の真ん中に居る僧侶は気にもせず暖炉の前で居眠りしている。
犬もやはり居眠りしている。
《好色》を示す部分。

天幕のなかで男女のカップルが戯れている。
羊のかぶりものをしているようなものは道化であり、道化はそのカップルたちをはやしたてている。

足元には竪琴や笛が落ちている。
《虚栄》を示す部分。

大きな帽子をかぶった女が自分の姿を鏡に写しているが、その鏡を持っているのは他あろう悪魔である。

ただ、この机画で悪魔が出てくるのはこの一コマだけである。
《憤怒》を示す部分。

二人は酒に酔っており、争っているが、抜き身で戦おうとしている男を女が必死で止めている。

これが中央下にあたるものであり、全体図を見ていただければわかるがこの部分が最も強調されている。
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