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■狂言名曲紹介
木六駄
伯父 「文には木六駄・炭六駄とあるが、炭六駄は見ゆるが木六駄は何とした。
太郎 「ヤ、さやうなものは参りませぬぞ。
伯父 「でも文には木六駄・炭六駄とあるではないか。
太郎 「そのやうなことがあらうはずがござらぬ。
【小名狂言】

◆登場人物
 シテ 太郎冠者
 アド 主
 アド 茶屋
 アド 伯父

◆予備知識
 「木六駄」の「駄」とは牛一頭が背負える荷物、またその荷物を背負わせた牛のことを言います。また、「諸白」は「もろはく」と読み、精米した米だけで作った上等の酒のことを言います。

◆あらすじ
 年末。みな例外なく多忙です。主人は太郎冠者を呼び出します。都の伯父さんのところに、年末の付け届けを持って行けと命じます。木が六駄、炭が六駄、あとこの手作りの諸白も持って行け、と。
 太郎冠者は、これから大雪になるに違いないので明日にしてください、わたし一人だけならまだしも、十二頭の牛などを連れて、大雪のなか峠は越えられますまいと反論します。が主人は、皆いそがしいし、明日になればまた牛が要るじゃろうからどうにか今日行ってくれとねじ込みます。かくして太郎冠者は雪の峠越えに出ることになります。

 峠には茶屋があって、そこは既に大雪になっています。こんな夜は誰も来ぬであろうがと言いつつ、茶屋は店を開きます。そこへ雪もぐれになった太郎冠者が、十二頭の牛を追いながらようよう到着します。太郎冠者は茶屋で一杯呑んで、「はったりと暖まって」都へ向かおうと考えていましたが、こんな時に限って茶屋は酒を切らしています。酒が呑みたいとむずがる太郎冠者に、茶屋は「その諸白」を呑めと勧めます。一度は忠誠心から拒否するのですが「凍えてお遣いが出来ぬよりよい」と茶屋に良い言い訳をもらうが早いか、喜んで口を切ってしまいます。最初は遠慮しながら呑みますがすぐにバカ呑みが始まり、茶屋と一緒に囃し合い謡い合い、楽しい酒宴のうちに全部呑んでしまいます。ここで小舞《鶉舞》が披露されます。
 酒宴のうちに世も白み、酔狂のうちに気が大きくなった太郎冠者は「薪にせよ」と木六駄を茶屋にやってしまい、千鳥足になりながら残りの六頭を追い、都へ向かいます。吹雪の一晩が明けて、雪は既に晴れています。

 フラフラしながら上機嫌で伯父さんの家につき、太郎冠者は付け届け目録を伯父へ渡しますが、伯父は「ここには《木六駄、炭六駄持たせた》と書いてあるが、炭六駄しか見えぬ」と不審を言います。太郎冠者はとっさに「わたしは名を《木六駄》と改めまして、それは《木六駄 “に” 炭六駄を持たせた》という意味だ」と反論します。しかし手作りの諸白は何処へ行った、オマエ呑んだろう!と問いつめられて、逃げる太郎冠者を怒れる伯父が追い込んで終わります。

◆みどころ
 とても長い曲です。牛を追うところは、鞭一本と演者のしぐさだけで、追われる十二頭の牛を観客に見せなければなりません。十二頭「見える」かどうかはとても大きなみどころです。また、酒宴のさいにグラグラしながら舞う「鶉舞」は、酔った加減をしながら型を重視して舞わないといけないので、これまた難しいようです(『千五郎狂言咄』より)。あとは、酒宴のさい、茶屋と掛け合いをしながら次第に興が乗ってくるところもとても面白いものです。また、茶屋までは吹雪のなか暗鬱でくさくさした太郎冠者、茶屋を出たあとは晴天のもと、酔い機嫌で躁状態の太郎冠者、と、スイッチのon-offのように切り替わりますが、上手い人のを見ると、舞台の気温や照度さえ変わったように切り替わります。みどころがたくさんあります。

(2008.1.17 updated.)
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