spatium artis ( 2015.1.21 uploaded )
Santa Caterina d'Alessandria
  アレキサンドリアの聖カタリナ
c. 1598
Oil on canvas,
173 x 133 cm
Museo
Thyssen-Bornemisza,
Madrid

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■梗概

 「聖カタリナ」といえば、このカタリナだけではなく、シエナのカタリナ、ジェノアのカタリナと居るため、彼女は「アレキサンドリアの聖カタリナ」と呼ばれる。尤も、シエナもジェノアも中世の人であるに比して、このアレキサンドリアの聖カタリナは古代4世紀の聖女である。なお、この項でいう聖カタリナとはすべてアレキサンドリアの聖カタリナである。

 知性あふれる少女であるこの聖カタリナは、皇帝マクセンティウスの求愛を受けるが、自分は「キリストの花嫁」であるため結婚できないとその愛を拒絶する。怒ったマクセンティウスは聖カタリナを論駁すべく、50人の哲学者を召し彼女と対決させるが、博学な彼女はあべこべに哲学者をみなやっつけ、改宗させてしまう。
 面目まで潰されてしまったマクセンティウス、釘のついた車輪で彼女を処刑しようとするが、今度は天使があらわれ、その車輪を破壊する。最終的には、怒り狂ったマクセンティウスにより、彼女は斬首されてしまう。

 したがって、彼女聖カタリナのアトリビュートは車輪である。そしてこの車輪はのちに「カタリナの車輪」と呼ばれた。
 このカラヴァッジョによる聖カタリナも、背後に車輪を背負った形での構図である。



光輪を頂く聖カタリナの表情。

その、レーニの描く聖女の表情などとは対極にある鋭い視線は、聖カタリナの知性をあらわしている。

彼女はその来歴から、学問の守護聖人としても尊崇されている。


このカラヴァッジョの構図からはややわかりにくいが、画の左端、処刑のための車輪「カタリナの車輪」が破壊されているのがわかる。

梗概にも記したとおり、マクセンティウスが彼女を拷問しようとした際、天使があらわれてこの車輪を破壊した。


輝く胸元、胸元の刺繍、抵抗のしるしである剣を握る手の表情、いずれも細心の注意を払って制作されている。

彼女は戦うために剣を握っているのではない。抵抗を示すために剣を掲げているだけである。そこに力は入れられていない。
剣は正義のアトリビュートであり、理が聖カタリナにあるということの象徴としてこの剣を掲げているのだろう。

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