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spatium artis ( 2015.1.8 updated ) | ||
L'Origine du monde | ||
世界の起源 | ||
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■梗概 この作品《世界の起源》は沿革的にもいわゆる「日陰者」なわけだが、その理由は見てすぐに了解されるだろう。一見、全くもってポルノと見紛うもので、ポルノもしくはエロティシズムが蔓延している現在に見ても一種の抵抗を感じるところ、19世紀の半ばにこの作品に直面した人々の困惑は容易に推し量ることができる。さもありなんこれは元々、トルコのパリ駐在大使カリル・ベイの注文を受けて作成されたものだが、作成されたのちは緑の覆いで隠されたままだった。しばらく行方不明になったのちにブダペスト国立美術館の所有に帰したが、そこではクールベの別作品の裏側に隠された。のち精神分析学者ジャック・ラカンの手に渡ったが、ラカンの手元でもアンドレ・マッソンの絵の後ろに隠されていたという。 クールベの言いたいことは大変よく分かる。しかしヴィヴィッドでありすぎる。センシティブでありすぎる。 もっとも、わたしは好きである。 |
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特に何をいうべきこともないかもしれないが、確かにその通りである。《世界の起源》。エディスンだってクレオパトラだって、母親から生まれている。つまり今描かれているこれは次の世界の起源であることは疑いない。 ところで、だとすれば世界のほんとうの起源である女性器は一体どこに発生したのだろうと考えるのもまた興味深い。 |
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母性の象徴でもある乳房は仄見えながら、顔は隠されている。つまり個性を剥奪された、いわば抽象的な女性性であり、母性である。 それであったればこそ、《世界の起源》という提題の意味が真に迫る。 |
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