spatium artis ( 2009.3.16 updated )
Il tributo
  貢の銭
1426-27
Fresco, 255 x 598 cm
Cappella Brancacci,
Santa Maria del Carmine,
Florence

【部分図。クリックにて拡大】

■梗概

 「ローマに税金を納めるのは正しいか」。
 誤っている、と答えると違法性を帯び、正しい、と答えると取り巻きのユダヤ人が反抗するだろう。パリサイ人が、どちらに転んでもイエスを陥れることができるはずの質問をなげかけた時、イエスは有名な言葉を発する。「神のものは神へ、カエサルのものはカエサルへ」。金貨には、カエサルの名と胸像が印されている。これはカエサルのものだ、カエサルへ返しなさい。神の名は魂に刻まれている。パリサイ人は沈黙を余儀なくされる。

 この壁画には、異なる三つの時間軸がはめ込まれている。

左隅にみえる白髪がペテロ。
右寄りの指さす人がイエスである。また、右隅に見切れているのが徴税人である。
イエスは述べる。「湖でとれる魚の口に銀貨がある。それを税金として差し出しなさい」。
画面左隅、元々が漁師でもあるペテロは、湖で魚を捕る。
果たしてその口には、銀貨が見られた。

卓抜な透視図法によって、非常に奥行きを感じる。
画面右隅に描かれている、徴税吏に対しその銀貨を支払うペテロ。
徴税吏はいくぶん怪訝な面持ちである。
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