spatium artis ( 2009.3.10 updated )
Il suicidio di Cleopatra
  クレオパトラの死
1625-30
Oil on canvas
 124 x 94 cm
Neues Palais, Potzdam

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■梗概

 クレオパトラは、ご存じのようにエジプトの女王。のちのアウグストゥスであるオクタヴィアヌスに攻められ、遂に自殺を行う。その方法は、ガラガラヘビに胸を噛ませるという劇的なものであった。
 レーニは瀕死のクレオパトラを、うら若い乙女として描いた。その瞳はもはや焦点をもたず、露出された肌は既に蒼白いが、頬にはわずかな血の気があり、未だ死を受けぬ彼女の、翳りある美しさを発散している。

既にして瞳は死人のそれである。
しかしながら頬はまだ乙女の温もりを湛えている。

その表情は死に際会していながら、あくまでも凄絶に美しい。
既に彼女の美しい胸に咬傷をつけた蛇。
ガラガラヘビである理由は本来、猛毒の蛇であるとともに、世界に分布する蛇のなかでも屈指の美しさを誇る種であるところ、この蛇はまるでジムグリの黒色変種であるかのように地味である。

死の毒牙が刺さっている隣に、生の象徴であるとともに性的象徴でもある乳房が零れている。
エロスとタナトスの共存。
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