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spatium artis ( 2015.1.22 updated )
Kruisafneming
  十字架降下
1612-14
Oil on panel,
421 x 311 cm
Vrouwekathedraal,
Antwerp

【部分図。クリックにて拡大】

■梗概

 アントウェルペン大聖堂所蔵のトリプティク、すなわち開閉式の三面絵画であり、そのメインパネルに描かれているのがこの《十字架降下》である。ルーベンス初期の代表作でもある。

 トリプティクを閉じた状態では、聖クリストフォロスが幼いキリストを運んでいる様子が描かれている(◆参照:トリプティクが閉じられた状態:拡大全図)。そして開いたとき、中央にはこの《十字架降下》、左側には《ご訪問》という、懐妊したマリアがエリザベトを尋ねる構図、右側には《神殿奉献》が描かれている。《ご訪問》で妊娠したイエスを運ぶマリアを描き、《神殿奉献》でイエスを運ぶ祭司長を描き、閉じられた絵でイエスを運ぶクリストフォロスを描く。「運ぶ」つまりはキリストを支えて道をゆく、という要素が通底している。
 なお、クリストフォロスはその実在性が疑われることから、教会では余り歓迎されない主題だが、いっぽうルーベンスはこの画の注文を火縄銃手協会から得ており、協会の守護聖人クリストフォロスを描かなければならないという立場であった。その解決法としてルーベンスが提示したのが、トリプティクの内側ではなく閉じられた場所、つまり内部よりも重要でない位置に描くことであった。クリストフォロスがここに描かれているのは、そういった経緯がある。

 なお、アニメ「フランダースの犬」のラストシーン、画家を志す貧しいネロ少年は、放火の濡れ衣着せられ村を追われ、乾坤一擲のコンクールに敗れたのち、愛犬パトラッシュとともにこの大聖堂の、ずっと見たいと念願していたこの《十字架降下》(およびこれと対になっている《十字架建立》)の前で、ついに疲れ果てて死ぬ。
 悲劇的な名画《十字架降下》、純粋で貧しい子供ネロ、その忠実な愛犬パトラッシュ、そしてその死と救済、となると確かに感動的ではあるが、同時にベルギー人そんな冷たくなくない?という疑念も浮かんで来たりする作品でもある。もっというと原作者はイギリスのウィーダ女史であって、イギリスとベルギーおよびネーデルランドは歴史上いろいろあるんで含むところがあんじゃねえのかと下衆の勘繰りすらもよおす、有り体にいうと難しい作品である。


右上から左下へ、典型的な対角線構図。

この《十字架降下》でも、右上から左下への力の動きがよくわかる、ダイナミズム溢れる構図である。やがてイエスの亡骸は左下、イエスにゆかりのある女性たちが待つところへ降ろされ、横たえられるだろう。

右がヤコブと、彼の梯子。

梯子はヤコブのアトリビュートである。
ヤコブの梯子は、天国への梯子の象徴でもある。ここに劇的にあらわされているキリストの死によって、人類が罪を赦され天国に昇れる、の謂である。

そして赤い衣装を着ているのは聖ヨハネである。

哀しみ嘆く聖母マリア。

その下にはマグダラのマリアとクロパスのマリア。

聖母マリアが跪いていない構図だが、これはむしろ聖書の〈ヨハネ伝〉に忠実な描写である。
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