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spatium artis ( 2015.1.20 updated ) | |||
Agnus Dei | |||
神の子羊 | |||
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■梗概 古代より、神もしくはメシアに率いられる民衆が羊に例えられたり、または宗教的に迷う人間を「迷える子羊」に例えたりと、羊は聖書に大変近しい動物である。イエス自身、羊を率いる牧人として表現されることもあり、また逆に、神へ捧げられる羊にイエスの受難が暗示されたりもする。 「修道院の画家」にして静物画の大家でもあるスルバランは、いま犠牲に捧げられんとする一匹の羊をそれのみで描き、イエス・キリストを表現した。か弱き子羊の達観したような表情、舞台でそこにだけスポットライトが照射されているような劇的な明暗表現と相俟って、構図はたんなる動物画でありながら、迫真の作品に仕上がっている。 |
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実に見事な毛皮の質感表現。 毛割れの部分、皮膚が弛んでいる部分なども、触感がそのまま閉じ込められているかのようであり、同じスルバランのボデゴンを想わせる。ボデゴンの多くは陶器だが、触感がキャンバスに捉えられているという点では全く同じである。 |
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達観したような表情を見せる子羊。 何も分かっていないようでもあり、すべてを達観しているようでもあり、また人類の罪をすべて背負って屠られようとしているようにも見える。 一言で言えば、やはり静謐で敬虔な味わいである。 |
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