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【DVD】
クライバー指揮バイエルン歌劇場管弦楽団によるライブ名演。女性歌手陣がやや落ちるが、フランクのベンノ・クシェ、アイゼンシュタインのヴェヒターはじめ男性陣(+ オルロフスキー役のファスベンダー)がいずれもはまり役。脇役ブリントさえも素晴らしい(なお当役フェリー・グルーバーはウィーン生まれのテノール)。クライバーの指揮はゼフュロスの如き推進力としなやかさ。そして何より、スプリングが効いたワルツのリズムはどうだ。ウィーン風とは少し違うが、聴く人すべてを呪縛してやまない、唯一無二の《こうもり》。



【DVD】
1980年12月、ウィーン国立歌劇場ライヴ映像。指揮は平凡、男性歌手陣はどれもこれもノリが悪いが、素晴らしいのがロザリンデ役のルチア・ポップとアデーレ役のグルベローヴァ。例えていえば、ベントレーコンチネンタルGTでスーパーに買物に行くような風情。演技に関してもルチアもエディタも非常に愛らしい。大好き。VPO の音色もやはりすばらしい。



1950年セッション - モノラル録音。年代の割に音はいい。パツァークのアイゼンシュタイン、ギューデンのロザリンデ、デルモタのアルフレート。ウィーン出身か、ウィーンで活躍した歌手を集め、ウィーン生まれのクラウスが、VPO を駆使してウィーンのワルツを演る。ご当地で食うご当地のフルコース。クラウスの指揮もどこまでもウィーン風。VPO の倍音たっぷりの伝統的音色もまだ健在、いい意味でどこか軽薄で、なにより特筆すべきは余裕がある。


ベームとVPO の組み合わせ。上のリンクはハイライト演奏版CDで、全曲盤も出ていたはずだがAmazonに見つからないのは残念、そこのところを注意していただきたい。
さてベーム、お察しの通り大変重たい演奏。軽率さの欠片もないグラーツ的音楽構築もさることながら、本来メゾが歌うはずのオルロフスキー役をヘルデンテノール、ヴィントガッセンが歌っているという、どこまで重るのだという子泣きジジイ的なキャスト。ベームがピクニックに行くというのでついてきたら目の前にゴッドウィンオースティン山。そんな感じ。でも登り切った時の達成感は半端ではない。毎度ながらベームのホルンの扱い方は見事。ウィーンの重いオペレッタに酔いしれるための一枚。

 ▽ Johann Strauss
Fledermaus
喜歌劇《こうもり》



■作曲 1874年
■初演 1874.4.5 アン・デア・ウィーン劇場
■台本 カール・ハフナー、リヒャルト・ジュネによる
■言語 ドイツ語
■時代 現代
■場所 オーストリアの温泉地イシュル





Janowitz, Waechter, Boehm / Vienna Staatsoper
「当曲のオススメ」でも書いた《ゴッドウィンオースティン山》ことベームの演奏が丸々YouTubeにあった。いかんだろこれ。なおロザリンデ役ヤノヴィッツはウィーン生まれの歌姫で、突っ立って歌っているイメージしかないが、映画オペラでも演技が可憐で大変いい。しかしそれにしても私の大好きなエーベルハルト・ヴェヒターのハマりっぷりよ。あとアメリカの連続殺人犯みたいな扮装のヴィントガッセンは一体なんなんだ。
もちろんYouTubeの音質はよくないので、良い子のみんなは参考程度に見てCDなりDVDなり買いたまえ!

《楽器編成》
Fr. 2 Ob. 2 E.Hr., Cl. 2, Fg. 2
Hr. 4 Tromp. 3 Tromb. 3 Tim. 1
1st Violin 2nd Violin Viola Cello C.bass
Symbal Triangle Tubularbells
Sprone Bass drum Side drum2 Organ


《おもな登場人物》
ガブリエル・フォン・アイゼンシュタイン (バリトン) 地主。ファルケの友人。かつてファルケに「コウモリ博士」というあだ名がつく原因を作った。禁錮刑が予定されている。
ロザリンデ (ソプラノ) ガブリエルの妻。かつてアルフレートと好い仲であったらしい。
アデーレ (ソプラノ) アイゼンシュタイン家の小間使い。
フランク (バス) ガブリエルを禁錮する予定の刑務所長。晩餐会に招待される。
オルロフスキー (メッゾ・ソプラノ) 公爵。アル中。退屈している毎日を晩餐会主催で紛らわす。
ファルケ (バリトン) アイゼンシュタインに意趣返しをすべく晩餐会を計画。
アルフレート (テノール) オルロフスキー公爵の声楽教師。色男風の手合い。
ブリント (テノール) ガブリエルの弁護士。訥弁というか吃音。
フロッシュ (ナレーター) 酔っぱらいの牢番。第三幕の軽い狂言回し。



■概要

 1865年、ヨハン・シュトラウス40歳。すでにワルツ王として本拠地ウィーンのみならず国際的な名声を得ていたシュトラウスは、同じく本拠をウィーン、それからパリにおくジャック・オッフェンバックにオペレッタの作曲をすすめられる。当時オッフェンバックは《美しきエレーヌ》、《天国と地獄》など、人気オペレッタを次々に劇場にかけ、いずれも大成功をおさめていた。当時、オペレッタは自分に合わないと考えていたシュトラウスは首を横に振る。
 それから6年経った1871年、シュトラウスは初めてのオペレッタ《ウィーンの陽気な女房たち》を上梓する。しかし――ウィーンではしばしばあることだが――出演者の政治的駆け引き(誰が出るか、出ないか)で一悶着あり、嫌気が差したシュトラウスは作品を引っ込めてしまう。続けて同じくオペレッタ《インディゴと40人の盗賊》上梓。最初は成功するものの台本が陳腐すぎたせいか失速する。1873年、オペレッタ《ローマの謝肉祭》上梓。失敗。そして今も世界の音楽好きに愛されてやまないこの《こうもり》が登場するのがその翌年、1874年である。実にヨハン・シュトラウス4度目の正直、とでもいえるものだった。

 この、ヨハン・シュトラウス作曲のオペレッタとしては唯一レギュラーで演奏される作品は、どうも6週間余りの速筆で完成されたものであるらしい。ワルツの世界的作曲家また指揮者として多忙を極めていた当時に6週間で完成させたということは、まるで熱情に浮かされるように、ほぼ淀みなく筆が動いたということでもあろう。それだけに、この作品の音楽の流れは、速度の緩急はあるにしても全く停頓することなく――それはまさしく1869年に彼が作曲したワルツ《美しく青きドナウ》のように――スムーズに流れていく。

■内容

 序曲
 単独でもひじょうにしばしば演奏される名曲。このオペレッタに出てくる旋律を自由にふんだんに盛り込んでいる、典型的な接続曲である。
 冒頭序奏部はアレグロ・ヴィヴァーチェ イ長調 2分の2拍子で全合奏にて華やかに始まる。旋律は第3幕終幕にアイゼンシュタインがロザリンデを責めるさいに用いられる旋律が変化して使われる。フェルマータつきの休止ののち、アレグレット 同じくイ長調 4分の4拍子でビオラとファゴットが一定のリズムを支える中、オーボエに先のアイゼンシュタイン旋律が、今度は明確な引用で出る。旋律は各楽器に引き継がれ、冒頭の変化主題が帰ってきて盛り上がるかと思いきや、ゆるやかなテンポに戻って鐘が鳴る。ここからレント 4分の2拍子。この主題は第2幕の終幕、朝6時になってアイゼンシュタインが周章てる場面の引用である。チェロが抜き足のようなピツィカート旋律を奏した後、ヴァイオリンになめらかな主題が出る。続いてメノ・モッソ。やはりここでヴァイオリンに出る旋律も第3幕終幕から取られているが、これはアイゼンシュタインがロザリンデに、彼女の不実が作り事だったことを確かめるときの旋律である。「タタタン・タタタン」のスラップスティック的な応酬が各楽器で行われた後、遂に真打ちのワルツが出る。テンポ・ディ・ヴァルス ト長調 4分の3拍子。第2幕、舞踏会の最後の場面で用いられる旋律である。続けて同じ舞台から合唱の旋律も引用される。続けてテンポが急速化し、アレグロ 4分の2拍子となる経過部に入る。続けてアンダンテ・コン・モートへテンポが変わり、ホ短調 4分の3拍子でオーボエが嘆き節を出す。この旋律は第1幕、ロザリンデがアイゼンシュタインの収監に際し(表面的に)嘆き悲しむ際の旋律である。続けて、同じ場面から続きの旋律、つまり哀しみきれずにロザリンデとアイゼンシュタイン、それから小間使いアデーレが踊りだす場面の音楽がアレグロ・モルト・モデラート ホ長調に戻り、4分の2拍子で出る。アンダンテからアレグロへはアッチェレランド風につなげる演奏者が多い。結尾部は今までの旋律が断片的に引用され、最後はストレッタになって華やかに終わる。

 第1幕
 アイゼンシュタイン家の居間。庭先から、アルフレートがロザリンデに歌う恋の歌が聞こえてくる。居間では、小間使いアデーレが、姉から舞踏会の招待が来たと喜びながら掃除をしている。ただ自分は小間使い、外出の許可なく参加することはできない、と嘆く。一方居間にはアイゼンシュタインの妻ロザリンデがおり、一計を案じたアデーレはロザリンデに、「叔母が病気なのでしばらく休みがほしい」と嘆願する。ロザリンデは一蹴する。アデーレは悲しそうに出て行く。
 入れ替わりに入ってくるのが、ロザリンデのかつての恋人で、今はオルロフスキーの音楽教師であるテノール、アルフレート。またあの頃のように楽しもうじゃないかとロザリンデを口説きまくり押しまくるアルフレート。ただ場所が場所、アイゼンシュタイン家の居間である。主人がもうじき帰ってくるからと気が気ではないロザリンデ。どうにかアルフレートを退場させる。
 入れ替わりに入ってくるのがアイゼンシュタイン。弁護士ブリントとギャンギャン喧嘩をしながらやってくる。この時点でこの家の主人アイゼンシュタインは役人に暴力をふるった咎で5日間の禁錮刑が待ち受けており、ブリントを弁護士につけたら5日間の禁錮がなんと8日に増えてしまった。お前のせいだとこういうわけである。ブリントはドモりながら、「刑が終わったら裁判を起こしましょう」などと無茶をいう。活気はあるがスラップスティック気味な三重唱を経て、結局夫婦でブリントのせいにしてブリントを家から追い出してしまう。
 刑期をきちんと勤めあげるべく「刑吏に夕食の時間だけもらってきたので」準備を行っているアイゼンシュタインのもとへ、友人のファルケ博士がやってくる。落ち込んでいるアイゼンシュタインに、「刑なんてくそくらえ、一緒に舞踏会へ行こうぜ」と誘いをかける。当初はむずがっていたアイゼンシュタインだが、ネズミちゃんがどうの、口説き文句がどうのという話をしている間にすっかりその気になり、二人の勢いそのままの二重唱が展開されてアイゼンシュタインはすっかり浮かれポンチになってしまう。ロザリンデがアンタなんで浮かれてんの?と出てきて再び、今度は表面的な深刻さを演じるアイゼンシュタイン。ロザリンデはご主人の支度を手伝っているアデーレに暇を出す。アデーレ、舞踏会に行けると内心ウキウキの体だが建前上叔母の病気となっているので喜べない。アイゼンシュタイン、舞踏会でネズミちゃんとワンナイトラブを展開できるので内心ウキウキだが建前上禁錮刑に行くことになっているので喜べない。ロザリンデ、主人が禁錮のあいだアルフレートと楽しみたいと思っているが建前上主人を牢屋に送らないといけないので喜べない。三者三様内心を隠しつつ深刻なハ短調モデラートの三重唱にすべりこむ。もちろん本心は三者全員ウキウキなのでハ短調を維持できない。表面的な深刻さが維持できなくなって、じきアレグロのハ長調、二拍子の舞踏音楽に変わるのが如何にもおもしろい。音楽は結局浮ついたまま終了し、アデーレとアイゼンシュタインは浮ついたまま退場する。
 入れ替わりに入ってくるのがアルフレート。入ってくるなりアイゼンシュタインのガウンは着る、トカイ酒は呑むとしたい放題、ロザリンデを脇に抱き、「呑もう、忘れられる人は幸せ」と既に恋人気分である。そこへ、アイゼンシュタインを迎えに来た刑務所長フランクが入ってくる。「ご主人を迎えに参りました」とアルフレートに指差して言うフランク。当然である逢引の場に入ってきたとは誰も考えない。「僕は違う」と言いかけるアルフレート。「主人のふりをして」と嘆願するロザリンデ。「わたしを騙すのか?」とフランク。お調子者アルフレートは主人のふりをしはじめる。「さあ行きましょう、時間がない」とすでに舞踏会の予定が入っているフランク、二人をせかせるが、別れのキスをもう一度させろとアルフレートがいつまでもぐずつく。ここで第三幕前奏曲にも取り入れられている《刑務所のテーマ》に乗せて三重唱が歌われ、遂にアルフレートがフランクに引きずっていかれる。ロザリンデが頭を抱えて幕となる。

 第2幕
 前奏曲はファンファーレのような活気あふれる曲。舞踏会が開かれるオルロフスキー家が舞台である。多数の着飾った参加者たちが「このような宴は見たことがない、時が経つのはあっという間」と一斉に歌う。「時が経つのは〜」の旋律は、この第2幕終幕に形をかえて現れる。主催者オルロフスキー公爵に首謀者ファルケ博士が近づいて「コウモリ博士の復讐劇をお見せします」と伝える。
 アイゼンシュタインがフランスの貴族・ルナール公爵という偽名を用いて入ってくる。強いウォトカをオルロフスキーに勧められて無理やり呑まされさっそく苦しむ。オルロフスキーは「好きなようにするのが、ここの掟さ」とクープレを歌いながら、おれが勧めた酒は断るなと無茶をいう。アデーレがやってきてアイゼンシュタインと鉢合わせをする。「アー!」と両人。アデーレは女優オルガと名乗っているが、アイゼンシュタインはルナールと名乗っている。「それは本名ですか?」と質問しあう両人。やがて耐えられなくなったアイゼンシュタインが「うちの小間使いによく似ている!」と言ってしまう。悲鳴をあげるアデーレ。そのまま、アデーレがアイゼンシュタインを笑う歌をうたう。「小間使いと間違うなんて、公爵様はおかしな方」というわけである。アイゼンシュタインは衆の笑いものになる。やがて遅ればせながら刑務所長フランクがやってくる。シュヴァリエ・シャグランと名乗るが、周りから「公爵と同じフランスの人だ」と言われ、両者不得意なフランス語でのやりとりが始まり、ちぐはぐの会話が繰り広げられるが、何故か仲良くなってしまう。
 次に、ハンガリーの公爵夫人としてやってきたのが、ファルケに呼ばれたロザリンデ。仮面をつけてわからないようにしている。一目惚れしたアイゼンシュタインは早速自分のかわいい時計を出して彼女を口説きにかかる。二重唱で歌いあっているうちに、ロザリンデに証拠物件として取られてしまう。もちろんこの時点でアイゼンシュタインはロザリンデに取られたとは思っていない。
 ひとりだけ仮面をつけているロザリンデは、周囲に仮面をとってくださいと嘆願されるが断る。アデーレに「彼女はハンガリー人ではないと思う」と言われ、証拠を歌で見せる、としてチャルダッシュを歌う。
 やがてテーブルを囲んで晩餐となるが、オルロフスキーはファルケ博士にあだ名「コウモリ博士」の来歴を尋ねる。アイゼンシュタインがさぞ楽しそうにその理由を語る。仮装会でコウモリの格好をさせられて散会後、酔っ払ったままアイゼンシュタインに森に置き去りにされ、朝になってコウモリの格好でふらふらと家に帰って以来コイツは「コウモリ博士」なのだーと子供のように喜ぶアイゼンシュタイン。オオウケする一同。復讐してやるからな、とファルケ。用心してっから大丈夫だぜ、とアイゼンシュタイン。
 宴たけなわ、オルロフスキーの一声で、「シャンパンの歌」がニ長調で歌い出される。オルロフスキー、アデーレ、アイゼンシュタインと歌い継がれ、ファルケが歌って興奮が最高潮に達する。続いてファルケの音頭から、モデラートの3拍子曲「兄弟姉妹になりましょう」の歌が歌われる。続いてシュネル・ポルカ《雷鳴と電光》。ドタバタバレエみたいになって大騒ぎになる――なお、ここには本来ヨハン・シュトラウスがこのオペレッタのために作曲したバレエ音楽が入るが、現代の演出では別のものが入ることが多く、《雷鳴と電光》でないものでいえば、クレメンス・クラウスの1950年の録音では《春の歌》が入っている――。その後、テンポはワルツとなり、いわゆる「こうもりのワルツ」となる。全員がほどよく酔っ払ったところに、時計の鐘が6時を告げる。あわてるアイゼンシュタイン。あわてるフランク。仲良しの二人は「そこの角まで一緒に帰ろう」なんてことを言い合う。ワルツは二拍子のアレグロ「追い出し」音楽となり、二人が慌てて出て行ったところを、勝手知ったるオルロフスキーはじめ参加者が大笑いして幕となる。


 第3幕
 活気ある前奏曲は、第1幕のフィナーレで一度鳴ったフランクのテーマとでもいうべき動機で構成されている。場面は刑務所の事務所兼刑務所長室。獄吏フロッシュが明らかに飲酒しているていで現れ、前後不覚でただドタバタする。やがてフランクが晩餐会から帰ってくるが、こちらもやはり宿酔の体、第2幕の動機旋律を次々鼻歌口笛で歌いながらふらふらしている。まもなく所長席に座って居眠りしてしまう。挨拶にやってきたフロッシュにたたき起こされるが、酔っぱらいの獄吏と宿酔の刑務所長、当然のようにちぐはぐなやりとりが繰り返される。
 まもなく女優オルガ、すなわちアデーレがやってきて、フランクに「わたしは本当は女優ではなく、小間使い」と告白する。続けて「あなたの力で私を女優にしてください」と嘆願し、様々な役どころを演じながら歌う。圧倒されたフランクは、パトロンになることを約束する。
 のちアイゼンシュタインが出頭してくる。驚いたアデーレは獄内に隠れる。そしてフランクとの数分ぶりの会合。当然ルナール公爵が来たと思って喜ぶフランク。さっきのシュヴァリエ・シャグランが所長室に座っていると思うアイゼンシュタイン。「なんで君、こんなところに居るの?」と尋ねあい、お互い本当の名前を言い合って十分に驚きあうが、フランクは「君がアイゼンシュタインではないことを証明できる」といい、続けて「アイゼンシュタイン氏は昨日の夜、奥様と一緒に居たのをすでに拘束しているよ」と述べる。最初は冗談だと笑っているアイゼンシュタイン、妻の不貞に思い当たりショックを受ける。
 フランクがアイゼンシュタインをそこに置いて退出したのち、今度は弁護士ブリントがフロッシュの案内で刑務所に入ってくる。事務所にブリントを待たせ、「アイゼンシュタイン氏を呼んでくる」と獄内に入っていくフロッシュを見ながら「あれ?アイゼンシュタイン氏ならそこに居るのに!」と奇妙な顔のブリント。一計をひらめくアイゼンシュタイン。弁護士に扮装して、アイゼンシュタインを名乗って囚われている誰がしと会って不貞の証拠をつかもうというわけである。二人とも一旦退出する。そこに現れるロザリンデ。一旦監獄から出てきたアルフレートと事務所で面会する。弁護士を装って再登場するアイゼンシュタイン。それとも知らずロザリンデとアルフレートは弁護士アイゼンシュタインにことの経緯を話す。弁護士はアイゼンシュタインの悪口を言われて激昂する。不思議がる二人。やがて「不実ものよ、恐れよ、罰してやる!」の一言とともにアイゼンシュタインは変装を捨てて名乗りをあげる。一瞬ひるむ二人だが、すぐにロザリンデは第2幕で奪った彼の不貞の証拠、時計を彼につきつける。いきなり弱り切るアイゼンシュタイン。修羅場になるかという場面で、刑務所のドアが開き、今までの晩餐会参加者が一斉に入ってくる。「おお、こうもりよ、おまえの犠牲を許してやれ」というフィナーレの歌が始まる。何が起こったかわからないアイゼンシュタインに対し「すべてはシャンパンのせいだったのだ」ということでその場を無理矢理におさめ、アデーレのパトロンにも、そこに出てきたオルロフスキーが名乗りをあげ、許しを請うアイゼンシュタインをロザリンデがゆるして大団円となる。

■付記

 どこまでも面白い喜劇。聞いたことがある旋律、わかりやすい旋律が満載で、喜劇だからどこから聴いても愉快な気分になる。そして、伝統のカナ臭さと軽佻浮薄が渾然一体となってやってくるウィーン風音楽というのは正月などのオメデタく浮かれ気分の時期にまことによく合う。ウィンナ・ワルツがニューイヤーに奏されるのは大変もっともである。御多分にもれずこの《こうもり》も、ニューイヤー前後の祝日に演奏されることが多く、演出上も時代が大晦日に設定してあったりもよくする。また、呑みながら見る視聴者的立場からいえば、第2幕の音楽は大いに呑んださいの気分の高揚にシンクロするし、第3幕は呑んだあとの間延びして後悔して混迷に至ったのちにカタルシスに達する宿酔に似ている。シラフで聴くと間延びしているように感じられる第3幕は、真の意味で酒呑みの気分を見事に反映している。酒呑みは酒を存分に呑んで聴くべきだ。

 なお、アデーレは登場人物の格としては本来三段目くらいの位置にあるが、コロラトゥーラ・ソプラノとして見せ所がたくさんあり、主役のアイゼンシュタインとロザリンデをしばしば食ってしまう。グルベローヴァやバーバラ・ボニーなど、超一流のソプラノがこの役に充てられることも多い。

(up: 2014.12.27)
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