spatium artis ( 2009.3.10 produced; 2009.7.24 updated )
■1594-1665年
■フランス出身
■バロック・古典主義
 NICOLAS POUSSIN



■略歴

 フランス古典主義の画家。「プッサン」とも。
 29歳のころローマに出、そこで活躍する。時期的にはバロックの時代で、同時代の他の画家と同様、カラヴァッジオの影響からバロック風の絵を描く。しかし中期以降の画風は、次第に理知的な構成をみせるようになる。彼の名と共にあがる代表作に、「バロック」にて想像する、明暗の劇的な交替・色彩の乱舞は既になく、古典主義的な深みを湛えた作風の神話画・宗教画が多い。
 一時その名声を聞いたルイ13世によってパリに呼び寄せられるが、数年でローマに舞い戻ってしまう。活躍の場はほぼローマだが、彼の絵は祖国フランスにも多く送られており、以後フランス絵画の礎を築いた。

 彼の絵は常にその背後に知性を感じさせる。じじつ、この画家はラテン文学に精通していた。「頭で絵を描いている」とすら揶揄されてきた。知性は常に冷静の側に立っており、当然プッサンの示す絵の構成もあくまでも静かである。例えばラファエッロの《エリマの失明》における場面把握を論じながら、ドヴォルシャック博士はこのように書く。
魔術師は突然失明し、眼を閉じて手探りでたどたどしく進んでいる。その他の人物は静かであるが、彼らは決してシュプリンガーがいうような画面充填のためのものではない。その静かさこそ、主要人物たちの間に起こっている事件を鮮明にしている。この静かさはこのほかにも意味がある。劇的な事件であるにも拘わらず、その人物たちが絵に古典的な謹厳を与えていることが、それである。この謹厳は、個々の形の全体に対する表現効果のみでなく、古典的な荘重や、瞬間の恒常化においてもふたたび古代に接近したことがみとめられる。
 (マクス・ドヴォルシャック『イタリア・ルネサンス美術史』下巻 p.253-)
 プッサンの示す構成にも、全く同じことがいえるだろう。


■作品


"Apollon et les Muses (Parnasse)"(1630)
 《アポロンと女神たち》



"Danse a la musique de temps"(1638)
 《時の音楽にあわせた踊り》



"ET IN ARCADIA EGO"(1637-39)
 《アルカディアの牧人たち》
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